この章は、Discordアカウントの乗っ取りを防ぎたい人と、乗っ取られてしまった人のための章です。ディスコード鯖でも、乗っ取られたアカウントから詐欺の画像が @everyone 付きで投稿される被害が起きています。この「スパム拡散型」を中心に、被害・手口・防ぎ方・対処を順に説明します。
急いでいるときは、次の節から読んでください。
- 自分のアカウントが勝手に投稿している・乗っ取られたかもしれない → 13-8
- パスワードやメールアドレスを変えられてログインできない、Discordにアカウントを止められた、お金を取られた、脅された → 13-9
- 怪しい画像やDMを見かけた → 13-5 の「怪しい投稿やDMを見かけたら」
- 怪しいリンクを開いた・ファイルを実行した・QRコードを読み取った → 13-5 の「開いてしまった・実行してしまったら」
この章は、セキュリティ会社やDiscordの公開情報をもとに、2026年10月時点でまとめたものです。手口は次々に変わり、Discordの設定画面の項目名も更新で変わることがあります。この章の対策をすべて行っても、被害を完全に防げるとは限りません。
13-1. 乗っ取りでどんな被害が出るのか
スパム拡散型の被害は、次の3つの層に分かれます。目に見えるのはDiscordでの投稿ですが、いちばん深刻なのは3つ目です。
| 被害を受ける人 | 起きること |
|---|---|
| 乗っ取られた本人(Discord) | 参加しているサーバーのチャンネルとフレンドへのDMに、詐欺の画像が一斉に投稿されます。各サーバーからキック・BANされたり、Discordにアカウントを停止されたりすることがあります。 |
| 周りの人 | 「いつもの友だち」から届くので、つい開いてしまいます。詐欺サイトでお金を取られたり、そこで乗っ取られて次の加害者にされたりします。 |
| 乗っ取られた本人(パソコン・生活全体) | 原因の多くは、パソコンが情報を盗むウイルス(マルウェア)に感染したことです。ブラウザに保存したパスワードやログイン状態もまとめて盗まれ、Google・Steam・Microsoft(Minecraft)・SNS・暗号資産ウォレットなども不正に使われるおそれがあります。 |
Discordへの投稿は「氷山の一角」で、気づかないうちに他のサービスにも被害が広がっている可能性があります。スパム拡散型以外の乗っ取りの被害は 13-4 にあります。
13-2. スパム拡散型の手口
投稿の特徴
2026年に多発しているのは、YouTuberのMrBeast(イーロン・マスクなどの場合もあります)を名乗る画像を、@everyone 付きで投稿するものです。
- 「暗号資産カジノに登録してコードを入れると2,500ドルもらえる」といった画像が4枚前後並びます。文字ではなく画像なのは、Discordの自動検知をすり抜けるためと考えられています。
- リンク先は偽のカジノサイトです。出金の「手数料」として暗号資産を払わせたり、ウォレットの接続・アプリ連携の許可・QRコードの読み取り・ログイン情報の入力をさせて、見た人のアカウントも奪おうとします。
餌が変わっても共通する特徴
餌は「Steamのギフト」「無料でNitro」「この画像に写っているのはあなた?」などに次々に変わります。「MrBeastの画像でなければ安全」とは考えず、次の特徴が重なっていたら、乗っ取られたアカウントからのスパムだと考えてください。
@everyoneや@here、大量のメンションが付いている- お金・ギフト・プロモーションコードなど、「何かがもらえる」話をしている
- 外部のリンクや、画像の中のQRコードに誘導している
- 「今日だけ」「先着〇人」などと急がせる
- いつもの本人と口調や言語が違う(急に英語になる、など)
- 同じ投稿が、いくつものチャンネルやDMに一度に届いている
リンク先は dlscord(i ではなく l)や discord-gift のように、本物に似せたアドレスのこともあります。
乗っ取りのしくみ(トークンの窃取)
Discordのアプリやブラウザは、ログインしたままにするために、「トークン」というログイン済みの証明をパソコンに保存しています。スパム拡散型の多くは、これをマルウェアに盗まれて起きます。
- 被害者が、マルウェアが仕込まれたファイルを自分で開いてしまいます(経路は 13-3)。
- マルウェアが、Discordのトークンや、ブラウザに保存されたパスワードなどを数秒で盗み出します。Discordのアプリを書き換えて、あとから入力したパスワードまで盗むものもあります。
- 攻撃者は、盗んだトークンを使って、被害者が参加しているすべてのサーバーとDMに画像を自動で投稿します。
トークンは「すでにログインした」という証明なので、盗まれるとパスワードも二段階認証も聞かれずにアカウントを使われます。二段階認証やパスキーでは、この型の乗っ取りは防げません。ただし、パスワードを盗まれたときや、パスワード・メールアドレスを変えられて締め出されそうなときの守りにはなるので、設定はしておいてください(13-5)。
乗っ取られても気づきにくい
攻撃者はパスワードを変えずにトークンだけを使うので、本人はいつもどおりログインでき、何も変わっていないように見えます。トークンは、しばらくたってから使われることもあります。スパムがまだ出ていなくても、次のようなことがあれば乗っ取りを疑ってください。
- 怪しいファイルを開いた直後に、Discordのアプリが突然落ちた、またはログインし直すよう求められた(そのときのパスワードを盗むためのことがあります)
- Discordの設定の「デバイス」に、覚えのない端末がある(表示されないこともあります)
- 参加した覚えのないサーバー、送った覚えのないDMやフレンド申請がある、プロフィールが勝手に変わっている
- 友だちから「変なメッセージが届いた」と言われた
13-3. アカウントが盗まれる経路
スパム拡散型の入口の多くは、被害者に「自分でファイルを開かせる・操作をさせる」ことです。主な経路は次のとおりです。QRコードとアプリ連携による乗っ取りは 13-4 にあります。
| 経路 | よくある誘い方 |
|---|---|
| 偽のゲームのテスト依頼 | 乗っ取られた友だちや、DMで親しくなった「開発者」から「自作のゲームをテストして」と頼まれ、ZIPの中の実行ファイル(.exe)を開かされます。パスワード付き(鍵付き)のZIPは、ウイルス対策ソフトが中身を調べられないので、それだけで警戒してください。 |
| ゲームのMod・チート | Minecraftの偽Mod・偽モッドパック・チートクライアントなどに仕込まれています。 |
| Discordの改造クライアント・ツール、ブラウザ拡張機能 | BetterDiscordのプラグインや「メッセージ一括削除」ツールなどを装います。Discordの中で動くので、トークンを直接読み取られます。 |
| 海賊版・クラック版のソフト | 有料ソフトの無料版、DLC解除ツール、Robuxの「無料生成ツール」などです。 |
| 「認証のためにコマンドを貼り付けて」 | 「ロボットでないことの確認」や「サーバーに入るための認証」を装い、コピーした文字を Win+R やターミナルに貼り付けて実行させます(下で説明します)。 |
画像や文書のふりをしたファイルにも注意してください。スクショ.png.exe のように拡張子(ファイル名の最後の .png や .exe の部分)を二重にしたもの、アイコンを画像やPDFに似せたもの、.scr・.bat・.lnk など開くとプログラムとして動くファイルです。Windowsは最初の設定では拡張子を表示しないので、スクショ.png に見えてしまいます(表示のしかたは 13-5)。
「コマンドを貼り付けて認証」が危ない理由
Win+R(Windowsキーと R を同時に押す)で開く入力欄や、ターミナル(PowerShell・コマンド プロンプト、Macの「ターミナル」)は、文字で命令を打ち込んでパソコンを直接動かすための道具です。ここに入れた命令は、あなた自身が操作したのと同じ扱いで、そのまま実行されます。
- Webサイトや偽の認証Botが「ロボットでないことを確認します」などと表示します。
- ボタンを押すと、マルウェアを入れる命令が、見えないところでコピーされます。
- 「
Win+R→Ctrl+V→Enter」と指示され、認証の手続きだと思って従うと、その瞬間にマルウェアが入ります。画面には「認証に成功しました」と出るだけです。
自分で実行するのでブラウザやWindowsの警告が出にくく、何を貼り付けたのかも見えません。本物の認証で Win+R やターミナルを使わせることはありません。本物の確認は、チェックボックスを押すなど、ブラウザの中だけで終わります。「キーボードで貼り付けて」と言われた時点で、画面を閉じてください。
Discordの「開発者ツール」(ブラウザで F12 や Ctrl+Shift+I)のコンソールに貼り付けさせたり、アプリの設定ファイルを書き換えて開発者ツールを開けるようにさせたりする手口も同じで、トークンを読み出されます。実行してしまったときは、すぐに 13-8 の対処をしてください。
Minecraftの利用者が狙われた例
Modを入れる機会が多いMinecraftの利用者は、特に狙われています。次の例は、どれもDiscordのトークンも盗むものでした。
- Fractureiser(2023年):CurseForgeやBukkitの作者アカウントが侵害され、正規のModの更新にマルウェアが混ぜられました。
- Stargazers Ghost Network(2025年):チート用Modを装ったファイルが、偽の「スター」で人気を装った約500のGitHubリポジトリで配られました。
- SugarSMP(2026年):「荒らしのいない安全なサーバー」をうたう偽サイトで、専用モッドパックとして配られました。
公式の配布サイトでも混入した例があるので、人気や見た目だけで安全と判断せず、作者や更新履歴も確かめてください。
13-4. スパム拡散型以外の手口
スパム以外を目的とする乗っ取りもあります(これで奪われたアカウントがスパムに使われることもあります)。防ぎ方は 13-5 にあります。
| 手口 | どうやって奪うか | 被害 |
|---|---|---|
| QRコードログインの悪用 | 「Nitroプレゼント」「Botの認証」などと称して、攻撃者のパソコンに出たログイン用QRコードを、スマホのDiscordアプリで読み取らせます。 | 本人が承認するので二段階認証があっても入られ、メールアドレスやパスワードを変えられて締め出されます。 |
| 偽の認証Bot・不正なアプリ連携 | 有名な認証Botをまねて、アプリ連携の許可画面や、Discordそっくりの偽ログイン画面に誘導します。 | パスワードを知られなくてもアカウントを操作されます。偽ログイン画面では、パスワードと二段階認証のコードを盗まれます。 |
| Discordのスタッフを名乗る詐欺 | 友だちのアカウントから「間違えて通報した。BANされるからスタッフに連絡して」と言われ、偽スタッフに確認コードやメールアドレスの変更を求められます。 | アカウントを失い、「返してほしければ払え」と要求されることもあります。 |
| 登録した支払い方法の悪用 | 登録されたクレジットカードやPayPalで、Nitroギフトを買います。 | 限度額いっぱいまで買われることがあります。 |
| サーバー管理者のアカウントの乗っ取り | 管理者やモデレーターの権限でサーバーを操作します。 | チャンネル・ロールの全削除、全員のBAN、身代金の要求など(13-10)。 |
| DMの覗き見・脅迫 | 過去のDMや送った画像を見たり、ダウンロードしたりします。 | 本名・顔写真・住所などが漏れたり、私的な画像や会話をネタに脅されたりします(13-9)。 |
13-5. 普段からできる対策
いちばん大事なこと:怪しいものを開かない・実行しない
スパム拡散型の乗っ取りは、ほとんどが「自分でファイルを開いた」「言われたとおりに操作した」ことから始まります。次の7つを守ってください。
- 信頼できない配布元のプログラムを開かない。 DMで届いたファイル、海賊版、チート、出どころの分からないMod・ツール・拡張機能は入れません。
- ファイルの拡張子を表示する。 エクスプローラーで、Windows 11 では「表示」→「表示」→「ファイル名拡張子」、Windows 10 では「表示」タブの「ファイル名拡張子」にチェックを入れます。画像のはずのファイルが
.exeなどで終わっていたら、開かずに削除します。 - 「ゲームをテストして」「このファイルを試して」には応じない。 友だちからでも、乗っ取られている場合があります。Discord以外の方法(通話など)で本人に確かめます。
- 怪しいリンクを開かない。 「無料でNitro」「ギフト配布」「テスター募集」などは詐欺と考えます。
- 自分で自分のパソコンに出したもの以外のQRコードで、Discordにログインしない。 読み取ったあとに「ログインしますか」と聞かれて心当たりがなければ、キャンセルします。
- 「認証のためにこのコマンドを貼り付けて」に従わない。
Win+R・ターミナル・開発者ツールへの貼り付けを求める「認証」は、すべて詐欺です(13-3)。 - 「ウイルス対策ソフトを切って」に従わない。 「誤検知されるので切って」「除外に追加して」と言われたら、その時点で詐欺です。
パソコンの使い方で被害を小さくする
- ウイルススキャンを過信しない。 マルウェアは開いた数秒で盗み終わり、新しいものは検知されないことも多いので、「スキャンで何も出なかったから安全」とは言えません。それでも、残っているものを見つけるために定期的にスキャンします(13-6)。
- ブラウザにパスワードを保存しない。 マルウェアにまとめて盗まれます。パスワード管理ソフトを使うのがおすすめです。
- OSとブラウザを最新にしておく。
アカウントの設定で守る
- 二段階認証とパスキーを設定する。 設定の「マイアカウント」から有効にし、バックアップコードはDiscord以外の安全な場所に保管します。
- パスワードを使い回さない。 他のサービスから漏れたパスワードで入られないよう、Discordには専用のものを使います。Discordに登録しているメールアドレスのアカウントも、二段階認証で守っておきます。
- 承認済みアプリを見直す。 設定の「承認済みアプリ」で、覚えのない・使っていない連携を解除します。許可するときは、求められている権限を確かめます。
- ログインはDiscordのアプリか、自分で開いた
discord.comだけで行う。 偽ログイン画面を避けるためです。 - トークン・パスワード・届いた確認コードを誰にも教えない。 Discordのスタッフが、DMで通報の取り消しや本人確認をすることはありません。
- 支払い方法を登録したままにしない。 Nitroを継続契約していないなら外し、カード会社の利用通知も有効にします。
- DMに個人情報や身分証の画像などを残さない。
運営がDMで求めないこと
ディスコード鯖の運営者が、DMで次のことを求めることはありません。運営者を名乗る相手から求められたら、乗っ取りか詐欺を疑い、チケットで運営に知らせてください。
- ファイルやプログラムを実行させること、コマンドを貼り付けさせること
- QRコードを読み取らせること、Botやアプリの連携を許可させること
- パスワード・確認コード・トークンを聞くこと、メールアドレスの変更をさせること
怪しい投稿やDMを見かけたら
- リンクを開かず、コードを入力せず、QRコードも読み取りません。
- ディスコード鯖で見かけたら、チャンネルとアカウントをチケットで運営に知らせます。
- 友だちから届いたときは、Discord以外の方法で「乗っ取られているかもしれない」と知らせます。
- できれば、メッセージを右クリック(スマホでは長押し)→「報告」で、Discordにも報告します。
スパムに返信したりメンションを付けて騒いだりすると、通知が広がってしまいます。スクショを共有するときは、リンクやQRコードを隠してください。乗っ取られた人は被害者なので、責めたり晒したりしないでください。
開いてしまった・実行してしまったら
迷ったら、重いほうの対処をしてください。
| してしまったこと | すること |
|---|---|
| リンクを開いただけで、何も入力・ダウンロードしていない | ページを閉じれば、基本的には大丈夫です。 |
| ファイルをダウンロードしたが、開いていない | ファイルを削除し、13-6 のフル スキャンをします。 |
| ファイルやプログラムを開いた、コマンドを貼り付けて実行した | スパムがまだ出ていなくても、すぐに 13-8 の対処をすべて行います。 |
| 人から送られたQRコードを読み取った、知らないアプリ連携を許可した | すぐに 13-8 の手順 2〜5 を行います。 |
| 偽のログイン画面に、パスワードや二段階認証のコードを入力した | すぐに 13-8 の手順 2〜5 を行い、バックアップコードと、同じパスワードを使うほかのサービスのパスワードも変えます。 |
| 詐欺サイトに暗号資産のウォレットを接続した・取引を承認した | 資産をすぐに別のウォレットへ移し、「承認の取り消し」の機能があれば使います。払ったときは 13-9 へ。 |
13-6. 端末ごとのウイルススキャン
OSに最初から入っている機能で十分です。「感染しています」と表示してソフトを買わせる広告や「無料スキャン」こそが詐欺のことがあります。
| 端末 | すること |
|---|---|
| Windows | 「Windows セキュリティ」の「ウイルスと脅威の防止」から、フル スキャンをします(クイック スキャンでは足りません)。「Microsoft Defender オフライン スキャン」も使えます。 |
| Mac | 標準の XProtect が自動で検査しています。自分でするときは Malwarebytes for Mac の無料版を公式サイトから入れます。「開発元を確認できません」の警告を押し切ってアプリを開かないでください。 |
| iPhone・iPad | アプリで端末の中をスキャンすることはできません。iOSを最新にし、「設定」の「一般」→「VPNとデバイス管理」に覚えのないプロファイルがあれば削除します。 |
| Android | Google Play ストアの「Play プロテクト」でスキャンします。Google Play 以外からアプリを入れず、覚えのないアプリの「ユーザー補助」「デバイス管理」権限を外します。 |
13-7. ディスコード鯖での対策
- おとり(ハニーポット)チャンネル:お知らせで案内したおとりのチャンネルに書き込んだアカウントは、内容にかかわらず、すぐにタイムアウトされます。乗っ取られたアカウントは全チャンネルに投稿するので、ここで止まります。おとりのチャンネルには、何も書き込まないでください。
- ロールの権限と招待リンクの管理:
@everyoneでメンションできる人を限り、招待リンクを管理して、通知が全員に届いたり、古い招待リンクから偽のサーバーへ誘導されたりしにくくしています。
おとりのチャンネルによるタイムアウトは、処罰ではなく、ディスコード鯖を適正に管理するためのメンテナンスです(基本ルール第15条第1項)。運営は、権利を制限したときは遅滞なく告知し、必要がなくなったらすぐに解除します(同条第2項)。乗っ取られてタイムアウトされたときは、13-8 の対処を済ませてからチケットで知らせてください。対処が済んだことを確かめたら解除します。うっかり書き込んだときも、チケットで知らせてもらえれば、事情を確かめてすぐに解除します。閲覧・書き込みの権限の変更など、ほかのメンテナンスを行うときは、改めてお知らせします。
13-8. 乗っ取られたときの対処
勝手に投稿・DMをしていた、覚えがないのにおとりのチャンネルでタイムアウトされた、というときは乗っ取られています。13-2 の「乗っ取られても気づきにくい」の兆候があるときや、怪しいファイルを開いた・コマンドを実行したときも、同じように対処してください。
どの端末から盗まれたかの見当をつける
最近ファイル・Mod・ツール・拡張機能を入れた、コマンドを貼り付けた、というパソコンが第一の候補です。パソコンを使っていない・心当たりがないときは、QRコードかアプリ連携(13-4)かもしれないので、手順 2〜4 を急いでください。分からないときは、Discordにログインしていたパソコンをすべて感染しているものとして扱います。
対処の手順
できるだけ早く、次の順に行ってください。
- 感染したかもしれないパソコンを、インターネットから切り離します。 Wi-Fiを切るか、LANケーブルを抜いて、これ以上盗まれるのを防ぎます。
- 感染していない別の端末(スマホなど)で、Discordのパスワードを変えます。 ほかの端末はログアウトされ、トークンが新しくなるので、攻撃者の古いトークンは使えなくなり、スパムが止まります。感染したパソコンで変えると、また盗まれます。別の端末がなければ、家族の端末を借りてブラウザで
discord.comを開きます(終わったらログアウト)。変えられないときは 13-9 へ、変えてもスパムが止まらないときは、すぐに手順 4 へ進みます。 - メールアカウントのパスワードを変えます。 間をあけずに、Discordに登録しているメール(Gmailなど)のパスワードを安全な端末で変え、ほかの端末からログアウトさせます。メールを乗っ取られていると、Discordのパスワードを再設定されてしまうからです。暗号資産のウォレットの資産も、この時点で別のウォレットへ移します。
- ログイン中の端末と、アプリ連携を確かめます。 設定の「デバイス」で覚えのない端末をログアウトさせ、「承認済みアプリ」で覚えのない連携を解除します。アプリ連携は、パスワードを変えても消えません。
- 何が投稿・送信されたかを確かめ、運営と友だちに知らせます。 検索欄に
from:と入力して自分を選ぶと自分の投稿を確かめられるので、消せるものは消します。DMの一覧で送られた相手も確かめます。ディスコード鯖にはチケットで(出せなければ運営者へのDMで)、乗っ取られたことと、ここまでの対処を伝えます。フレンドやほかのサーバーにも「リンクを開かないで」と知らせます。 - 感染したパソコンからマルウェアを取り除きます。 13-6 のフル スキャンをします(このためにネットにつなぎ直すのはかまいません)。終わるまで、そのパソコンでは何にもログインしません。心当たりのあるソフト・Mod・拡張機能は削除します。不安が残るとき、何度も乗っ取られるときは、データを退避してOSを入れ直す(初期化する)のがいちばん確実です。
- Discordのアプリを入れ直します。 アプリを書き換えて、駆除後もパスワードを盗み続けるマルウェアがあるからです。Windowsでは、アンインストールしたあと、エクスプローラーのアドレス欄に
%AppData%と入力してdiscordフォルダーを、%LocalAppData%と入力してDiscordフォルダーを削除します(PTB・Canaryを入れていた場合はdiscordptb・DiscordPTB・discordcanary・DiscordCanaryも)。Macでは、アプリを削除したあと、Finderの「移動」→「フォルダへ移動」で~/Library/Application Support/discordを削除します。そのうえでdiscord.comから入れ直します。改造クライアントは入れ直しません。 - もう一度Discordのパスワードを変え、バックアップコードを作り直します。 駆除前に入力したパスワードや、感染したパソコンに保存していたコードは、盗まれている可能性があるからです。
- ほかのサービスのパスワードも変え、ログイン状態をリセットします。 Google、Microsoft(Minecraft)、Steam、SNS、ブラウザに保存していたものを安全な端末から変え、「ほかの端末からログアウト」も選びます。パソコンに置いていたパスワードのメモや管理ソフトのデータも、盗まれたものとして扱います。暗号資産のウォレットは新しいものに切り替えます。
- 二段階認証とパスキーを設定します(13-5)。 締め出されるのを防ぐためです。安全な端末で行います。
スパムが止まっても、パソコンからマルウェアを取り除くまでは安心できません。取り除く前にログインし直すと、同じように乗っ取られます。手順 6〜8 を飛ばさないでください。
アカウントを作り直しても解決しません。感染したままなら新しいアカウントもすぐに盗まれ、フレンドや参加サーバーも失います。ほかのサーバーからキックやBANをされたときは、手順 10 までが済んでから、そのサーバーの運営に事情を伝えて解除を頼んでください。
13-9. 締め出された・お金を取られた・脅されたとき
Discordのサポートへの報告は、公式の報告ページ(dis.gd/hackedaccount)から行います。Discordの公式のアドレスは、discord.com(support.discord.com を含みます)と dis.gd だけです。「アカウントを取り戻してあげる」と近づいてくる相手や、それ以外のアドレスのページは、二度目の詐欺です。
ディスコード鯖の運営には、チケットか別のアカウントからのDMで知らせてください(乗っ取られたアカウントは、取り戻せるまで外しておくことがあります)。
パスワードやメールアドレスを変えられてログインできないとき
- Discordから「メールアドレスが変更されました」というメールが届いていれば、その案内から元に戻せることがあります。
- 戻せないときは、Discordのサポートに報告します。登録していたメールアドレスから送り、アカウントを作った時期や以前の名前、Nitroの購入の記録など、自分のアカウントだと分かる情報を添えます。
Discordにアカウントを止められたとき
- パスワードのリセットを求められたときは、届いたメールの案内に従い、安全な端末で新しいパスワードを設定し、13-8 の手順も続けます。
- 無効化・停止されたときは、メールやアプリの案内から異議を申し立て、乗っ取られたことと 13-8 の対処が済んだことを伝えます。案内がなければ、サポートに報告します。
- 停止されなくても、DMを送れないなどの制限がかかることがあります。設定の「プライバシー・安全」の「アカウントの状態」で確かめられます。
お金を取られたとき
- Discordで身に覚えのない支払いがあったときは、サポートに報告します。
- クレジットカードが使われたときは、カード会社に連絡してカードを止めます。支払いの取り消し(チャージバック)を申し立てると、Discordのアカウントが止められることがあるので、サポートにも同時に報告します。
- 詐欺サイトにお金や暗号資産を払ってしまったときは、追加で払わずに、警察の相談窓口(
#9110)や都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口に相談してください。
脅されたとき
- お金を払わないでください。一度払うと、さらに要求され続けることがあります。
- やり取りの画面を保存し、警察の相談窓口に相談してください。未成年の人は、家族など身近な大人にも相談してください。
- ディスコード鯖の参加者がからんでいるときは、チケットで運営にも知らせてください。
13-10. 国のDiscordサーバーを管理している人へ
国家のDiscordサーバーなどを管理している人は、次のことも確かめてください。
@everyoneのメンション権限を絞る。 管理者・モデレーター以外のすべてのロール(@everyoneを含む)で「@everyone、@here、全てのロールにメンション」をオフにし、チャンネルごとの上書きも確かめます。- AutoMod を使う。 スパムのブロックとメンション数の制限を有効にします。ただし、画像の中の文字は読み取れません。
- おとりのチャンネルを作る。 13-7 と同じものを作り、おとりであることを案内しておきます。
- 新しく来た人の画像・リンクの投稿を絞る。 「認証レベル」を中以上にし、確認済みのロールにだけ添付やリンクを許可します。ただし、乗っ取られるのは古くからのメンバーなので、これだけでは防げません。
- 管理者の二段階認証を必須にする。 オーナーは、モデレーションの操作に二段階認証を必須にできます。
- 権限を持たせすぎない。 削除やBANなどの強い権限は必要な人とBotだけに付け、Bot・アプリ連携・Webhookも時々見直します。
- BotのトークンとWebhookのURLを漏らさない。 漏れると、誰も乗っ取られていなくてもスパムが投稿されます。漏れたら、再発行・作り直しをします。
- 被害が続いている間は、招待とDMを一時停止する。 「セキュリティ操作」から一時的に止められます。
- 招待リンクを失効させない。 期限切れの招待コードが偽サーバーの入口に使われた例があります。外部に貼るリンクは期限なしにするか、古いリンクを残さないようにします。
- 乗っ取られた人をBANせずに、タイムアウトかキックで止める。 被害者なので、Discord以外の方法で本人に知らせ、13-8 の対処が済んでから戻します。投稿を消しきれないときは、「直近のメッセージを削除する」を選んでBANし、すぐ解除する方法もあります。
注意書き
この章は、公開されている情報をもとに参加者の参考としてまとめたもので、すべての手口の網羅や、被害を必ず防げることを保証するものではありません。お金の被害や脅迫など深刻な被害は、Discordのサポートや警察などの公的な窓口に相談してください。ディスコード鯖での個別の対応は、サーバー運営の判断に委ねられます。